古都・奈良のお土産の定番といえば、鯖や鮭などを使った押し寿司「柿の葉寿司」。関西方面への出張や旅行のお土産に購入された方も多いのではないでしょうか。その「柿の葉寿司」を中心に奈良の郷土寿司を展開するのが、奈良・吉野で大正10年(1921年)に創業し、柿の葉寿司、棒鮨、笹寿司などを製造・販売する「ゐざさ」を展開する、株式会社中谷本舗様です。
同社では、2008年から自社でEC通販を展開しているほか、2021年からはAmazonでの販売をスタート。ACROVEでは2022年からAmazonの運用をサポートさせていただいています。常務取締役である中谷圭佑様、通販事業を担当されている大木美沙子様に、中谷本舗様の歴史や現在の事業、そしてEC通販事業についてお話をお伺いしました。

奈良・吉野の山里から始まった、中谷本舗の深い歴史

ーまずは中谷本舗様の事業について教えてください。

中谷 様:私たちは、奈良の名産品である柿の葉寿司を中心に「名産寿司」と呼ばれるカテゴリーの商品を製造・販売しています。ただ、元々は米販売店として創業したという経緯もあり、米に関わる商品は幅広く展開しようという方針から、名産寿司「ゐざさ」だけでなく駅弁、お弁当なども「笹八」という別のブランドで展開しています。売上規模としては駅やスーパーなどでの販売が大きな比重を占めますが、直営店も奈良県内に8店舗、東京都と埼玉県にもそれぞれ1店舗展開しているほか、2008年からは自社でのEC販売を展開して2020年にはリニューアルもしています。
私自身は、父から「好きなことをやれ」と言われて育ち、自分がやりたかった仕事をするために新聞社に勤めていました。ですが、30歳を過ぎた頃に「今の自分があるのは、誰のおかげか」と考えるようになったり、相談した会社の同僚から「柿の葉寿司は日本の食文化なんだから、家業を継いで守るべきだ」という意見があったりしたことで、自分のルーツである父の会社・中谷本舗を継ごうと決意し、2018年に家業に戻りました。

ー創業が大正10年と非常に長い歴史をお持ちですが、どのような経緯で名産寿司を手掛けることになったのでしょうか?

中谷 様:現在ゐざさ本店がある奈良・吉野の上北山村は元々林業が盛んな地域で、今から100年ほど前には全国から出稼ぎの労働者が集まりとても栄えていた場所でした。中谷本舗を創業した私の曽祖父はそこに目をつけて、上北山村に米販売店を開業し、戦後まで米の販売や様々な食品などを扱う商品を展開していました。しかし、戦後に上北山村の林業が廃れていくと、先代である私の祖父は「このままでは上北山村がなくなる」という危機感を抱き、新しい村の名物を作ることで地域を盛り上げようと考えます。
そこで考案されたのが「ゐざさ寿司」という当社オリジナルのお寿司でした。

出稼ぎ労働者が集まる吉野地方には、東北などから紅鮭の塩漬けなどの仕送りがたくさんあり、当時から身近な存在でした。そして、上北山村の大台ヶ原という場所が熊笹の群生する場所であったことから、この笹の葉をモチーフにして紅鮭を使ったお寿司を作ろうということで、「ゐざさ寿司」が誕生しました。現在は全国的な知名度の高さなどもあり、奈良・吉野の郷土料理である「柿の葉寿司」が人気ですが、当社のルーツはこの「ゐざさ寿司」なのです。

ー祖業である「ゐざさ寿司」や奈良の郷土寿司である「柿の葉寿司」を今日まで継承して現在の中谷本舗があるのだと思いますが、一方でこれから未来にこうした食文化を継承するため、チャレンジしていることなどありますか?

中谷 様:現在は冷凍寿司の商品に力を入れています。「柿の葉寿司」は認知度が高いとはいえ、全国には遠方を中心にまだまだ知らない方、食べたことがない方もたくさんいらっしゃいます。郷土ならではのお寿司は全国各地に存在しますが、その中で私たちは奈良の郷土寿司をさらに広めていかなければならないという思いがあります。そのためには、お寿司にとって重要な日持ちの課題をクリアし、美味しさをそのままに遠方にもお届けできる冷凍寿司のノウハウが確立すれば、より多くの方に奈良の郷土寿司という食文化を多くの方に伝えていくことができるのではと考えています。
もちろん、その先には海外への展開も視野に入ってくるのではないでしょうか。海外では寿司というと握り寿司や巻き寿司が定番ですが、「日本には押し寿司もあるんだ!」というメッセージを海外に伝えていきたいですね。

10年以上手付かずだったECサイト運用
コロナ禍でECの位置付けが大きく変化

ー2008年というかなり早い時期から自社ECサイトの展開を行っていらっしゃいますが、どのような背景でネット通販に舵を切ったのでしょうか?

中谷 様:電話での通信販売は古くから行っていたのですが、社内から「これからはネット通販もやらなければ」という声が挙がり、当時取引のあった流通会社が提供するECプラットフォームを利用する形で自社サイトでの通販を開始しました。ただ、当時は「とりあえず作ってみた」というレベルのスタートで、専任担当者をつけるわけでもなく、EC経由で受注が入ったら対応するといった、あまり力を入れていない状態でした。

大木 様:ただ、その後10年ほど力を入れないまま運営を続けると、サイトそのものがどんどん古さを隠せない状態になってしまい、更新する手間や制約も非常に苦労なものになっていました。そこで、2018年頃からプラットフォームの入れ替えとサイトのリニューアルを検討し、2020年にリニューアルオープンしているほか、2021年にはAmazonにも出店しています。

中谷 様:2020年に自社ECをリニューアルした際には、広告もメルマガも何もしていない状況でしたので、まずは時間をかけて自社ECの売上を軌道に乗せることを目標にしました。そして、自社ECの形が整ってきてEC運用の基本が理解できてきたタイミングで、今度は販売チャネルを増やそうということになり、2021年にAmazonへの出店を決めたのです。

ーちょうどコロナ禍に突入して通販でのお取り寄せなどに注目が集まった時期のリニューアルとなったんですね。

中谷 様:そうですね。当初、EC事業に対しては「費用を掛けてまで力を入れる意味があるのか」という意見もありましたし、会社としては、駅や量販店での売上がメインでしたので、そこまでECに力を入れる必要はないのではという雰囲気でした。しかし、結果的にコロナの影響もありECでの売り上げはどんどん伸びていき、社内でのECに対する見方も大きく変わってきたのではないでしょうか。

ーAmazonに出店された当初の成果はいかがでしたか?

中谷 様:商品画像の充実に力を入れたり、Amazonのショップ向けセミナーで自分自身でノウハウを吸収してクリエイティブを改善したりして出店から2ヶ月くらいで月商が100万円を超える成果を上げることができました。

ACROVEがEC運用を全面支援
売上は目標比200%の月も!

ーそうした中、2022年にACROVEがEC通販事業のサポートを開始させていただきました。私たちのようなEC運用代行サービスを導入しようと考えた背景、数あるコンサル会社の中から、ACROVEを選んだ決め手はなんだったのでしょうか?

中谷 様:社内リソースが限られている中で、Amazonでの広告費・販売コストの最適化や自社サイトECの売上アップにも注力していかなければなりませんでした。Amazonでの売上が100万円を超えたことでEC通販事業の体制をしっかりと整え、ノウハウも改めて構築しながら注力していく必要があると感じ、EC運用サポートを外部にお願いしようと考えました。
検討段階ではACROVEさんを含めて2社から提案を受けたのですが、もう1社の方はあまり提案に積極的ではなく、一方でACROVEさんは熱心に当社の状況を聞いて熱意を持ってご提案をしてくださったのでお願いすることになりました。

ーACROVEを選んでいただきありがとうございます!現在はAmazonで商品ページの改修や広告運用のサポートなどを中心にサポートをさせていただいていますが、どのような成果が生まれていますか?

中谷 様:ACROVEさんは非常にお若い会社なので不安がなかったといえば嘘になりますが、結果的にサポートをお願いしてよかったと感じています。おかげさまで売上は好調に推移していますね。

大木 様:ACROVEさんのサポートが始まる際に1年先までの売上・利益の目標を提示いただいたのですが、「こんな数字、達成できるの?」と思うようなロードマップでしたが、実際に達成しながら推移しています。

中谷 様:母の日商戦に合わせた取り組みでは受注の処理が追いつかないのではと思うほどの売上になりましたね。いい意味でこちらがキャパオーバーになるほど売上が伸びて、2023年5月は単月で300万円ほどと、目標としていた160万円に対して200%まで売上が伸びました。年間を通してみても、月商120万円〜300万円の間で順調に推移しています。
ACROVEさんに参画していただいて一番助かっているのが、広告運用のサポートです。現在お願いしている広告運用を自社でやるとなったら、おそらく難しいと感じるくらい、きめ細かな広告運用をしていただいています。例えば、広告キーワードの選定や人気キーワードへの対策などは、自分たちが他の業務もある中では手が回らなかった部分ではないでしょうか。

これからのACROVEに期待すること

(お写真、左から齋藤真偉子様、中谷圭佑様、大木美沙子様)

―私たちのサポートで大きな成果が生まれているようで非常に光栄です!今後ACROVEに期待すること、ACROVEと挑戦したいことを教えてください。

大木 様:運用サポートの中では商品ページに掲載する画像のクリエイティブについてABテストもしていただいていますので、そうした検証のフィードバックなどをもとにクリエイティブもさらに改善していきたいですね。またクリエイティブについて、私たちで考え制作したものとACROVEさんのご提案をもとに制作したものが混在しているので、クリエイティブに統一感を持たせるために、連携して更なるブラッシュアップをしていければと思います。

中谷 様:私は、ACROVEさんで構築されているデータ分析ツール「ACROVE FORCE」の、モール内でのトレンドやレビューの内容などと売上の相関性・改善ヒントなどを分析できる点に興味があります。いつかぜひ当社でも活用できればと思います。
また、同じようにACROVEさんのサービスを受けている企業が集まるユーザー会やEC運用に役立つセミナーなどもあれば嬉しいですね。私は立場上、様々な企業と交流がありますが、社内の担当者にはなかなかそのような機会はありません。ユーザー会のような機会があればぜひ参加させたいと思います。

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