出汁を取ったり、調理してご飯のお供にしたり、日本食に欠かせない食材である「昆布」。その消費量が日本一という富山県で70年以上に渡り昆布問屋を展開しているのが「昆布専門問屋 源蔵屋」です。

近年は楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなどのプラットフォームを活用して、昆布の魅力を全国に届けるべくEC販売に注力されており、同社の売上アップに貢献すべく、ACROVEではAmazonにおけるEC運営をサポートさせていただいております!今回は、運営する山三商事株式会社の大代麻美子様にお話をお伺いしました。

「昆布」を通年で販売UPを狙うため、EC販売をフル始動

ーまずは源蔵屋の創業からの歴史について教えてください。

大代 様:源蔵屋は昭和26年(1951年)に創業して、現在で4代目になります。創業当時から、利尻をはじめ北海道から昆布を仕入れる問屋業を中心に、70年以上に渡りビジネスを展開してきたのですが、私たちの代になって昆布の消費量が落ち込んできているという課題に危機感を持ち、スーパーのプライベートブランドなどを通じて個人向けの商品を展開するようになり、さらに個人向け販売を強化すべく楽天市場に出店してEC販売も展開するようになりました。

一般的に、昆布商品の繁忙期は年末年始に集中していて、年が明けて8月くらいまでは長期間の閑散期に入ってしまいます。こうした現状をECで打開して年間を通じて昆布商品の販売を増やし、売上を底上げできるようにしたいというのが、私たちの狙いです。その対策として辿り着いたのが、全国のお客様に昆布商品の魅力やお料理での活用法などを伝えながら直接販売促進ができ、時間や場所の制約を超え、手軽に商品が入手できるという魅力があるEC販売でした。

もちろん、EC販売から10年ほど経った現在でも、年末が最も需要が高まる時期ではありますが、徐々に繁忙期以外の売上も成長しつつあります。

ー地域おこしを進める中で、楽天市場に出店されたとのことですが、EC販売を開始された当時から現在まで、どのような運営をしてきましたか?

大代 様:楽天市場への出店を検討した当時、地域物産フェアを展開していたり、富山でも地元事業者を中心に「地域の魅力を全国に伝えるためにネットを活用しよう」と楽天市場を活用した地域おこしを進める動きがあったり、私たちもそうした動きに合わせて軽い気持ちで出店しました。しかし、出店直後は運営体制や集客施策が整わないまま走り出したということもあり、期待していた売上を全く生み出せませんでした。店舗は作ったけれど、そこにどう人を呼べばいいのかを考えていなかったのです。私自身が「ECに出店するとはどういうことなのか?」を理解していなかったのです。甘い考えでスタートしてしまったと思い、様々なことを勉強するようになりました。

そこから、広告などを活用することで売上を伸ばすことができましたが、広告はあくまで一時的な集客アップなので、手元に集客のノウハウが残るといった手応えはありませんでした。ただ、一時楽天市場の売上ランキングで総合1位になるほど大きく伸びたことで「昆布商品にもこんな需要があるんだ!」という実感が得られました。3000件から4000件という大量の注文が殺到したことで「大量の注文をどう処理するか」「受注システムをどう構築すべきか」といった課題が見えてきたことは大きな収穫でした。

ただ商品を並べるだけではいけない
ECビジネス拡大で感じた、苦労と手応え

ーECでの販路拡大を始めてみて、実際に運用してどのようなご苦労がありましたか?

大代 様:ECサイトでの販売は、営業マンを1人育てるようなものだと感じます。つまり、売りたい商品の魅力を商品ページで全てプレゼンテーションする必要があると思っています。商品を卸せば終わりということではなく、売りたい商品のビジュアルや情報を余すことなく整理して表現しなければなりません。「商品をただ陳列すればいい」というわけではないということを学んできました。

また、「お客様とのギャップを埋める」という部分に難しさを感じます。ECでの販売はお客様に直接接客したり商品をお渡ししたりするものではありません。お客様の顔が見えない中で、私たちは長年BtoBの問屋事業をしてきたこともありBtoCのビジネスのノウハウも十分ではありません。そうした中で、画面の向こう側にいるお客様の“温度感”を探るのには大変苦労しました。ただ、お客様とコミュニケーションを重ねることで、お客様が商品についてどのような点に着目しているのか、商品の良さをどのように評価しているのかといった新しい発見もたくさん得られています。

そして、商品を配送するにあたって在庫を予めどれくらい用意すべきか、配送に必要な資材をどれくらい用意すべきか、在庫をストックする保管場所をどのように確保すべきかといった点にも苦労しました。売上アップを見越して大規模な先行投資をするのには大きな覚悟が必要ですし、注文が増加してから対応すると後手に回ってしまいます。過去の販売データを活用しつつ毎年手探りしながら、少しずつ調整しております。セールなどを開催する前には倉庫がパンパンになるほど在庫や資材を用意するのですが、商品が次々に売れて空っぽになると、大きな安堵感とやりがいが生まれますね。もちろん、売れ残ってしまう場合もあるので、その時には反省会をして次に向けた課題と解決策を模索しています。

ACROVE協業後、売上はなんと3倍に!
まるでAmazonに詳しい社員が増えたみたい

左から、大代麻美子様 弊社辻村

ーACROVEとの出会いについて教えてください。当初から、私たちのようなECサイトの運用サポートを導入することは考えていらっしゃったのでしょうか?

大代 様:楽天市場の運用に多くのリソースを割いている中で新たな人員を確保することにはリスクもあり、楽天市場以外のECサイトの運用サポートを外部に委託することは検討していました。実際にACROVEと協業する以前にも外部のコンサル会社を導入したこともあります。ただ、残念ながら依頼したコンサル会社にはあまり良い印象がなく、小手先の集客のテクニックに寄りすぎていて、お客様に寄り添った集客があまりできていませんでした。良心的な対応はしてくれましたが、私が思い描いていたサポートとはかけ離れていたのです。そのほかにも、様々なコンサル会社からお話をいただきましたが、ご提案できるプランがいずれも自分たちで手を動かさなければならないものばかりで「私たちのリソースでそれをこなせるのか」という課題を突きつけるものばかりでした。

ーそうした中、2022年にACROVEがEC通販事業のサポートを開始させていただきました。数あるコンサル会社の中で、ACROVEを選んだ決め手はなんだったのでしょうか?

大代 様:まずは、コスト面です。代表は、売上が成長する前段階からEC運用サポートに固定費が掛かることについて消極的な立場でしたが、ACROVEは今後の売上計画を明確に提示してくださり、精鋭で伴走する形を取ってくださいました。もちろん、その売上計画には懐疑的な目も持ちましたが、まずは先行投資のつもりでお任せし、Amazonでの売り場作りや集客ノウハウの継承をしっかりとした上で私たちが引き継ぎたいという考えで協業することになりました。また、ACROVEは自社でも様々なブランドを持ちEC事業を展開しているので、「ECを理解している人たちがサポートしてくれる!」という安心感も大きかったですね。

ーACROVEを選んでいただきありがとうございます!ACROVEとの協業を進める中で、どのような点が楽になったり、課題解決につながっていますか?

大代 様:ACROVEと協業してから、本当に楽になっています。これまでは運用している中で何か疑問に直面すると、Amazonとのやり取りをはじめ解決するのにかなりの時間が掛かっていて、その中で他の仕事も入ってくるので手が回らない状況に陥ることもあったのですが、ACROVEと協業したことで、まるでAmazon専任の社員が増えて隣の席で一緒に働いているかのように課題解決をどんどん進めてくださるので、とても助かっています。もちろん東京と富山という距離のギャップはありますが、様々なことを対応してくださっています。

また、この協業によって売上にも良い効果が生まれています!協業開始当時は売上は2桁程度でしたが、その後、売上は3倍に伸び現在では3桁を順調に維持しています。今後はこの売上をさらに倍に成長させるべく、さらに協業を進めていければと考えています。

ー私たちのサポートで大きな成果が生まれているようで非常に光栄です!今後のACROVEとの協業に向けてなにか課題などはありますか?

大代 様:もっとディープシンキングの時間を作ってこの協業から更なるシナジーを生み出していきたいのですが、お客様との間にある問題を解決することを最優先に対応していますので、その時間がなかなか確保できておりません。協業するからにはシナジーを最大化したいところですが、現状はとても勿体無いとも思いますので、私自身がこの課題を解決していきたいですね。

ECビジネスから「昆布」という日本の食文化を更なる未来へ

―本日は色々とお話をお伺いできありがとうございました!改めて、今後のACROVEへのご要望などについてもぜひ教えてください。

大代 様:今までも私たちに並走して様々なサポートをしてくださっていますが、今後もビジネスをご一緒できるよう売上・利益を伸ばすなどビジネスの「体力」をACROVEと共につけていきながら、最終的には私たちがノウハウを活用して自走できるところまで成長できればと考えています。私たちとのビジネスがACROVEにとっても次のビジネスにつながるケーススタディになれば嬉しいですね。

―最後に、これからのECビジネスの目標や課題について教えてください。

大代 様:現在、問屋事業とEC販売を比較すると市場規模が縮小している問屋事業に対してEC販売は伸びてきていますが、まだまだ成長の伸び代はあると思っています。中でも、Amazonでターゲットにしたいのは、問屋事業のノウハウを活かせる業務用商品のニーズです。例えば小売用商品やギフト商品は販売数も伸ばしやすいですが、一方で手間が大きく顧客単価も伸ばしにくい商品でもあります。家庭向け商品は様々な工夫で売上を伸ばしたいと考える一方で、業務用商品は手間が少なく大容量商品であるため単価も高いので、この領域を成長させていきたいですね。

また、私たちは多くの人たちに昆布の魅力を知ってほしい、昆布をもっと食べてほしい、そして私たち「源蔵屋」の存在を知ってほしいという思いでECビジネスを始めましたが、楽天市場やAmazonなどを通じて接点が増えてきたとはいえ、まだまだ道半ばだとも思います。昆布は日本の食文化にとって大きな役割を果たしてきました。これからも日々の食生活の中でもっと昆布を活用してもらえるよう、これからもACROVEと協業しながら様々な取り組みを進めていきたいと思います。

―辻村さん、大代様の言葉を受けて、改めて「源蔵屋」をご担当されたときの気持ちと、今後の更なる売上拡大に向けた抱負を聞かせてください。

辻村:現在の課題はより多く利益を残すこと、そして縮小している昆布の市場をどう大きくしていくか、です。昆布についてより深く学び、”源蔵屋の一員”といわれるよう、精一杯コミットできればと思っております!

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